祝福する人
万代恒雄
聖書のお言葉をお送りしましょう。
詩篇71篇13節です。
「私をなじる者どもが恥を見、消え失せますように。私を痛めつける者どもが、そしりと侮辱で、おおわれますように。」
この詩篇のことばは、誰かを心の底からなじって、侮辱し、呪っているように聞こえます。
詩篇の作者は、誰かから嫌がらせやいじめとか、また様々な悪意ある攻撃を受けていて、苦しんだのでしょう。
神の前に、自分を痛めつけるものどもを消え失せるように祈っています。
人間というのは、非常に面白い側面があります。ちょっと名前が知られたりしたら、すぐにわけのわからない、嫌がらせの電話なんていうのがかかってきたりするのです。
私などは、別にお金儲けをしているわけではないし、一生懸命に人々をお助けするような、精神的な価値観の高い仕事をしていますから、別に悪く言われる筋合いは一つもないわけです。
しかし、そんな私にも、酔っ払って、意味のない悪口を並べ立てた電話が、時折かかってきます。
そんな電話をかけてくる人は、とても気の毒だなと思うのです。同時に愚かだなあと思います。
詩篇の作者と同じように、「私をなじるものが恥を見、消え失せますように。私を痛めつけようとする者共が、そしりと侮辱で、おおわれますように」と私が、もし真剣に祈ったとするとどうなるでしょう。酔っ払って、私に悪口を並べ立てる電話をかけてきた人の上に祝福はないし、恐ろしいことが起こることだって当然ありうるからです。
たかが酔っぱらいの悪口の電話に対して、そこまで私が真剣に祈ることはないかもしれませんが、自分に対して、いわれのない誹謗中傷をしたり、悪意を投げつけ、攻撃してくる人に傷つけられたなら、私も詩篇の作者のように、神様に祈りの叫びをあげるでしょう。
だから、何の理由もなしに人を妬んだり、憎んだりして、さらに心に思うだけではなくそういう行動をとったら、私たちが天に向かってツバを吐くと同じように、その報いは確実に自分に下ってきます。ですから、人を妬んだり、憎んだり、そしったり、侮辱するなどというのは、とても恐ろしいことなのです。
ですが、ローマ人への手紙十二章の十四節、十五節にはこうあります。
「あなたがたを迫害する者を祝福しなさい。のろってはいけません。
喜ぶ者と共に喜び、泣く者といっしょに泣きなさい。」
パウロは詩篇の作者のように迫害されたとしても、敵をのろわず祝福するように書いています。どんな時でも、私達はそしるのではなく、逆に祝福できる人になった方がいいのです。
しかし、私達の社会生活の中で、人を祝福するということは、なかなか難しいと思います。
泣く人と一緒に泣くことはできるのですが、喜ぶ人と一緒に喜ぶことはとても難しいと思います。
でも、本当に聖書が言うように、あなたが、いつでも本心から人を祝福する人間になった時に、あなたは神から祝福される人となります。
実は、一番祝福されているのは、人を祝福できる人なのです。
恵まれ、祝されている人とことばを交わして、その人を祝福してあげる。すなわち、その祝福を共に預かる世界の中に入れられているわけです。
しかし、人を祝福することが、なかなかできないというのはなぜかというと、人間の持っている罪がそれを妨げているからです。
つまり、自分中心であるので、人の幸せを喜べないわけです。
人の不幸ならば、涙を流せるけれど、人の喜びを一緒に喜べない、これこそ深い人間の罪ゆえなのです。
悲しみを持ち、苦しみを持つ者のために、ご自身が十字架にかかってお死にくださった、イエス・キリストの心を思う時に、彼は自らを犠牲にして、私達のために救いと祝福を与えてくださいました。
キリストを信じることにより、罪を赦され、きよめられた私達は、人を妬むことなしに祝福する、そうした心を自分の中に持ちたいと心から願おうではありませんか。
そんな難しいことができるのかとおっしゃいますか?
あなたがそうするのではありません。神様がしてくださるのです。
だから、自分の心の中にある汚れた、そういう醜い自己中心的な、人を呪うような気持ちがなくなるように神に祈るべきではないでしょうか。
人を呪うような気持ちは、人へのあざけりを生みます。しかし、その呪いは自分へ返ってきて、祝福を遠ざけてしまいます。
罪を悔い改めて、人を祝福しつづける心とことばに満ちた人は、祝福された人生に必ず入れられるのです。
(放送メッセージより)
祝福する人 落穂第626号第一面(2018年7月号)
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